2022年12月28日 新着情報

賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされています。
キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、今般、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとしました。
資金移動業者の指定要件等については、労働政策審議会労働条件分科会において、公労使の代表に議論いただいた上で、定められました。

■資金移動業者の口座への賃金支払の概要とこれまでの経緯


○賃金は通貨払いが原則(労働基準法第24条)。ただし、労働者が同意した場合には、その例外として、
①銀行口座と②証券総合口座への賃金支払が認められている(労働基準法施行規則第7条の2)。
⇒賃金支払に関する労使の新たな選択肢として、③資金移動業者の口座への賃金支払を認める場合、労働基準法施行規則の改正が必要。
(参考)新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)(抄)

○資金移動業者の口座への賃金支払について、賃金の確実な支払等の労働者保護が図られるよう、資金移動業者が破綻した場合に十分な額が早期に労働者に支払われる保証制度等のスキームを構築しつつ、労使団体と協議の上、2022年度できるだけ早期の制度化を図る。

■資金移動業者の口座への賃金支払に対する規制のイメージ


○現行では、資金決済法等に基づき、「利用者の保護及び資金移動業の適正かつ確実な遂行」の観点から、全ての資金移動業者に必要な規制がなされている(『1階部分』)。

○資金移動業者の口座への賃金支払については、『1階部分』に加えて、労働基準法施行規則に基づき、「賃金の確実な支払」を担保するための要件を満たす一部の資金移動業者のみに限定することが必要『2階部分』。
資金移動業者の口座への賃金支払に対する規制のイメージ

■資金移動業者の口座へ賃金支払の制度の概要(骨子)


(1)使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について(2)の方法によることができるものとする。
※銀行口座への振込、一定の要件を満たす証券総合口座への払込は、引き続き可能。
※資金移動業者の口座への賃金支払について、使用者が労働者に強制しないことが前提。

(2)次の①~⑦の全ての要件を満たすものとして、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への資金移動
(指定の要件)
①破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となったときに、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること。
②口座残高上限額を100万円以下に設定又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。
※口座残高100万円超の場合に資金を滞留させない体制整備が資金決済法に基づき資金移動業者に求められていることや、①の資金保全スキームにおいて速やかに労働者に保証できる額は最大100万円と想定していることを踏まえ、破綻時にも口座残高が全額保証されることを担保するための要件。
③労働者に対して負担する債務について、当該労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
④最後に口座残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること。
⑤現金自動支払機(ATM)を利用すること等により口座への資金移動に係る額(1円単位)の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回は手数料を負担することなく受取ができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。
⑥賃金の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。
⑦①~⑥のほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

(3)厚生労働大臣の指定を受けようとする資金移動業者は、①~⑦の要件を満たすことを示す申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。厚生労働大臣は、指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)が①~⑦の要件
を満たさなくなった場合には、指定を取り消すことができる。

■法令、通達等


労働基準法施行規則の一部を改正する省令(令和4年11月28日公布)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001017141.pdf

「労働基準法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(局長通達1)(令和4年11月28日基発1128第3号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001017089.pdf

「賃金の口座振込み等について」(局長通達2)(令和4年11月28日基発1128第4号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001017090.pdf

同意書の様式例(局長通達2の別紙)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001017091.pdf

■よくあるご質問への回答(労働者、使用者向け)


Q:賃金のデジタル払いは必ず実施しなければならないのでしょうか。引き続き、銀行口座等で受け取ることができなくなるのでしょうか。
A:賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。

Q:賃金のデジタル払いを選択した場合、ポイントや仮想通貨などで賃金が支払われることがありうるのでしょうか。
A:現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められません。

Q:いつから賃金のデジタル払いが可能になるのでしょうか。
A:(1)令和5年4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行うことができます。

(2)申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にはその事業者を指定します。この審査には、数か月かかることが見込まれます。

(3)その後、各事業場で、賃金のデジタル払いを行う場合には、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結いただく必要があります。(詳細は以下の回答もご覧ください)

(4)その上で、労働者は賃金のデジタル払いの留意事項を説明を聞き、理解した上で、賃金のデジタル払いを希望する場合には、使用者に同意書を提出することが必要です。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を資金移動業者の口座で受け取ることができるようになります。

Q:賃金のデジタル払いを開始するために、事業場で必要な手続きを教えてください。
A:事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、賃金デジタル払いの対象となる労働者の範囲や取扱指定資金移動業者の範囲等を記載した労使協定を締結する必要があります。

その上で、賃金のデジタル払いを希望する個々の労働者は、留意事項等の説明受け、制度を理解した上で、同意書に賃金のデジタル払いで受け取る賃金額や、資金移動業者口座番号、代替口座情報等を記載して、使用者に提出することが必要になります。

Q:労使協定で取扱指定資金移動業者の範囲を設定するに当たり、どの資金移動業者を選択できますか。
A:厚生労働大臣が指定した資金移動業者の中から選択できます。厚生労働大臣が指定した資金移動業者は、指定が行われ次第、このページに掲載します。

Q:賃金のデジタル払いを選択するために留意すべき事項をわかりやすく教えてください。
A:労働者は、資金移動業者口座は「預金」をするためではなく、支払や送金に用いるためであることを理解の上、支払等に使う見込みの額を受け取るようにしてください。その他の留意事項は、同意書の裏面に記載されています。

使用者は、労働者に対して賃金のデジタル払いを賃金受取方法として提示する際は、銀行口座か証券総合口座を選択肢としてあわせて提示しなければいけません。また、労働者に対して、同意書の裏面に記載された留意事項を説明してください。

今後、リーフレットを作成し、このページに掲載することを予定しています。掲載後、賃金支払・受取方法の選択・説明の際などにご活用ください。

Q:万が一、指定資金移動業者が破綻した場合、アカウント残高は消えてしまうのでしょうか。
A:厚生労働大臣の指定する資金移動業者が破綻した場合には、賃金受取に用いる口座の残高が保証機関から速やかに弁済されます。具体的な弁済方法は、資金移動業者ごとに異なりますので、賃金のデジタル払いを選択する際にご確認ください。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html
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