2025年12月16日 新着情報

 

[公正取引委員会]からの「お知らせ」です。

 

令和7年5月23日に公布された、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(令和7年法律第41号)により、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が改正されます。

法律の題名の変更のほか、適用対象、義務、禁止行為等様々な点の変更がなされており、こちらで一部抜粋したものをご紹介します。

改正事項

【令和8年1月1日から施行・適用】

法律の題名・用語の変更

案1 完全電子化 データ取得・データ提供

適用対象の拡大

適用基準への「従業員基準」の追加

適用対象となる事業者の基準に、従来の資本金額等による基準に加えて、新たに従業員数による基準が追加されました。従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分が新設され、規制及び保護の対象が拡充されます。

対象取引への「特定運送委託」の追加

適用対象となる取引に、製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託が追加されます。

禁止行為の追加

協議に応じない一方的な代金決定の禁止

製造委託等代金の額に関する協議に応じないことや、協議において必要な説明又は情報の提供をしないことによる、一方的な製造委託等代金の額の決定が禁止されます。

手形払い等の禁止

製造委託等代金の支払手段について、手形払が禁止されます。また、その他の支払手段(電子記録債権や一括決済方式(ファクタリング等)など)についても、支払期日までに製造委託等代金の額に相当する額の金銭を得ることが困難なものは禁止されます。

面的執行の強化

事業所管省庁において、取適法に基づく指導及び助言ができるようになったほか、中小受託事業者が違反事実を情報提供しやすい環境を確保するために、執行機関に申し出たことを理由に不利益な取扱いを禁止(報復措置の禁止)しており、この情報提供先として、現行の公正取引委員会及び中小企業庁に加え、事業所管省庁が追加されます。

その他

●製造委託の対象物品として、金型以外の型等(木型、治具など専ら物品の製造に用いる物品)が追加されます。

●書面交付義務について、中小受託事業者の承諾の有無にかかわらず、電子メールなどの電磁的方法による提供が認められます。

●遅延利息の対象に、製造委託等代金の額を減じた場合(減額)が追加されます。

●既に違反行為が行われていない場合でも再発防止措置等を勧告できるようにするなど勧告に係る規定が整備されます。

案1 完全電子化 データ取得・データ提供 案1 完全電子化 データ取得・データ提供 案1 完全電子化 データ取得・データ提供

取適法の適用対象

案1 完全電子化 データ取得・データ提供

取適法は、適用対象となる中小受託取引の範囲を、①取引の内容と、②資本金※1基準又は従業員※2基準から定めており、適用対象となる取引の発注者(委託事業者)が資本金基準又は従業員基準のどちらか1つでも満たす場合には、「優越的地位にある」ものとして取り扱い、中小受託取引に係る委託事業者の不当な行為を、より迅速かつ効果的に規制することをねらいとしています。

※1資本金の額又は出資の総額
※2常時使用する従業員の数

取適法と特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
(フリーランス・事業者間取引適正化等法)との関係

取適法とフリーランス・事業者間取引適正化等法のいずれにも違反する行為については、原則としてフリーランス・事業者間取引適正化等法を優先して適用することとされています。

取引内容

取適法の適用対象となる取引は、その委託される内容によって条件が定められています。

「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」「特定運送委託」と大きく5つの取引内容に大別されており、適用対象となる取引は多岐にわたります。

製 造 委 託

物品を販売し、又は物品の製造を請け負っている事業者が、規格、品質、形状、デザインなどを指定して、他の事業者に物品の製造や加工などを委託することをいいます。ここでいう「物品」は動産のことを意味しており、家屋などの不動産は対象に含まれません。

修 理 委 託

物品の修理を請け負っている事業者が、その修理を他の事業者に委託したり、自社で使用する物品を自社で修理している場合に、その修理の一部を他の事業者に委託することをいいます。

情 報 成 果 物 作 成 委 託

ソフトウェア、映像コンテンツ、各種デザインなどの情報成果物の提供や作成を行う事業者が、他の事業者にその作成作業を委託することをいいます。情報成果物とは、次のものをいいます。

  • ①プログラム(例:ゲームソフト、家電製品の制御プログラムなど)
  • ②映画、放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
    (例:アニメーション、ラジオ番組など)
  • ③文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
    (例:設計図、商品・容器のデザイン、家電製品の取扱説明書の内容など)

役 務 提 供 委 託

他社から運送屋ビルメンテナンスなどの各種サービス(役務)の提供を請け負った事業者が、請け負った役務の手協を他の事業者に委託することをいいます。ただし、建設業法に規定される建設業を営む事業者が請け負う建設工事は、取適法の対象とはなりません。

特 定 運 送 委 託(改正により追加)

事業者が、販売す一る物品、製造を請け負った物品、修理を請け負った物品又は作成を請け負った情報成果物が記載されるなどした物品(例:作成を請け負ったデザインに基づいて製造されたペットボトル)について、その取引の相手方(当該相手方が指定する者を含む。)に対して運送する場合に、その運送の行為を他の事業者に委託することをいいます。

委託事業者の義務

中小受託取引の公正化及び中小受託事業者の利益保護のため、委託事業者には次の4つの義務が課せられています!

1.発注内容等を明示する義務

口頭発注による様々なトラブルを未然に防止するため、委託事業者は発注に当たって、発注内容(給付の内容、代金の額支払期日、支払方法)等を書面又は電子メールなどの電磁的方法により明示しなければなりません。

※中小受託事業者からの承諾がなくとも電磁的方法による明示が可能となります。(改正のポイント)

発注内容等を明治する義務

2.取引に関する書類等を作成・保存する義務

製造委託をはじめとする中小受託取引が完了した場合、委託事業者は、給付内容、製造委託等代金の額など、取引に関する記録を書類又は電磁的記録として作成し、2年間保存することが義務付けられています。

3.支払い期日を定める義務

委託事業者は、検査をするかどうかを問わず、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、製造委託等代金の支払期日を定めなくてはなりません。

支払期日を定めなかった場合などには、次のように支払期日が法定されます。

ア 当事者間で支払期日を定めなかったときは、物品等を実際に受領した日

イ 当事者間で合意された取決めがあっても、物品等を受領した日から60日を超えて定めたときは、受領した日から起算して60日を経過した日の前日

発注内容等を明治する義務

4.遅延利息を支払う義務

委託事業者が、支払期日までに製造委託等代金を支払わなかった場合、受領した日から起算して60日を経過した日から実際に支払が行われる日までの期間、その日数に応じ中小受託事業者に対して遅延利息(年率14.6%)を支払う義務があります。

また、委託事業者が、中小受託事業者に責任がないのに、発注時に決定した製造委託等代金の額を減じた場合、起算日から実際に減じた額の支払をする日までの期間について減じた額に対して遅延利息を支払う義務が新たに追加(改正のポイント)されます。この場合における遅延利息の起算日は、減額を行った日又は中小受託事業者から給付を受領した日から起算して60日を経過した日のいずれか遅い日となります。

この遅延利息は、民法、商法や当事者間で合意して決めた利率に優先して適用されます。当事者間でこの遅延利息と異なる約定利率(10%など)を定めていても、その約定利率は適用されません。

発注内容等を明治する義務

※製造委託等代金を減じた日()又は中小受託事業者の給付を受領した日から起算して60日を経過した日()のいずれか遅い日が起算日となります。

なお、以降に減額を行った場合には、製造委託等代金を減じた日から減額に対する遅延利息が発生することとなります。

※改正の概要及び新旧の条文等については、下記の公正取引委員会ウェブサイトを御参照ください。

https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou.html

詳しくは下記参照先をご覧ください

公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/file/toriteki002.pdf
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