長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表
厚生労働省では、令和2年度に、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例と共に公表しています。この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。
対象となった24,042事業場のうち、8,904事業場(37.0%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行いました。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、2,982事業場(違法な時間外労働があったもののうち33.5%)でした。
厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとのことです。
【令和2年4月から令和3年3月までの監督指導結果のポイント】
(1)監督指導の実施事業場:24,042事業場
(2)主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
①違法な時間外労働があったもの:8,904事業場(37.0%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:2,982事業場(33.5%)
うち、月100時間を超えるもの:1,878事業場(21.1%)
うち、月150時間を超えるもの:419事業場(4.7%)
うち、月200時間を超えるもの:93事業場(1.0%)
②賃金不払残業があったもの:1,551事業場(6.5%)
③過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:4,628事業場(19.2%)
(3)主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
①過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:9,676事業場(40.2%)
②労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,301事業場(17.9%)
1 法違反の状況(是正勧告書を交付したもの)
監督指導実施状況
令和2年4月から令和3年3月までに、24,042事業場に対し監督指導を実施し、17,594事業場(73.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。主な法違反は、違法な時間外労働があったものが8,904事業場、賃金不払残業があったものが1,551事業場、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが4,628事業場であった。
2 主な健康障害防止に関する指導状況(指導票を交付したもの)
(1)過重労働による健康障害防止のための指導状況
監督指導を実施した事業場のうち、9,676事業場に対して、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導した。
(2)労働時間の適正な把握に関する指導状況
監督指導を実施した事業場のうち、4,301事業場に対して、労働時間の把握が不適正であるため、厚生労働省で定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(労働時間適正把握ガイドライン(参考資料2参照))に適合するよう指導した。
3 監督指導により把握した実態
(1)時間外・休日労働時間が最長の者の実績
監督指導を実施した結果、違法な時間外労働があった8,904事業場において、時間外・休日労働が最長の者を確認したところ、2,982事業場で1か月80時間を、うち1,878事業場で1か月100時間を、うち419事業場で1か月150時間を、うち93事業場で1か月200時間を超えていた。
(2)労働時間の管理方法
監督指導を実施した事業場において、労働時間の管理方法を確認したところ、2,109事業場で使用者が自ら現認することにより確認し、9,088事業場でタイムカードを基礎に確認し、4,497事業場でICカード、IDカードを基礎に確認し、7,126事業場で自己申告制により確認し、始業・終業時刻等を記録していた。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000667303.pdf